現代の五穀豊穣の聖地「兜町」と、豊かさの源流
2026/06/13
現代の五穀豊穣の聖地「兜町」と、豊かさの源流
デジタルクリエイターさんが作成してくださった、私の紹介画像がある。
そこには、このような言葉が添えられている。
『五穀豊穣の聖地・兜町スタジオでのキャスター歴22年。
音声表現者として自身のキャリアと舞台のテーマを重ね「金融・経済 × アート」の架け橋になること、
日本の芸術文化の魅力を世界に伝えたいという想いを大切にしている』
その画像を目にした私のエッセイ連載の担当者の方から、こんな新鮮な疑問を投げかけられた。
「なぜ、兜町が『五穀豊穣の聖地』と言われているのでしょう?」
確かに「日本橋兜町」といえば、一般的には“金融・証券の街”という無機質なマネーのイメージが強い。
そこに「五穀豊穣」という農業や豊作を意味する言葉が並ぶと、「おや?」と不思議に思うのは
とても自然なことかもしれない。
だが、この結びつきの歴史的背景を紐解いていくと、
そこには日本の富の源流とも言える、美しい物語が見えてくるのだ。
「兜町」と「五穀豊穣」がどう結びついているのか。
その原点は、日本の経済や富の基準が「お米(石高制)」であったという歴史に遡る。
かつて、お米はただの食べ物ではなく、貨幣としての役割を果たしていた。
年貢を納めることは、今の納税と同じだ。
つまり、古来の日本において、お米(石高)が増えることを願い、五穀豊穣の実りを願うことは、
国が豊かになること、すなわち「経済の発展」そのものを意味していたのだ。
その流れを汲み、近代日本経済の礎(東京株式取引所)が築かれた街こそが、
日本経済の父・渋沢栄一翁が開いた兜町である。
だからこそ兜町は、「農の実り」と「経済の実り」が重なる場所として、
敬意を込めて「五穀豊穣の聖地」と表現されるようになった。
実際、東京証券取引所に新規企業が上場する際に、伝統的に鳴らす五回の鐘の音は、
「五穀豊穣」の「五」に由来している。
そして、日本の美意識に深く根ざす「一粒万倍」という言葉がある。
わずか一粒の籾(もみ)が万倍もの稲穂に育つという、本来は農業の豊作に由来するこの思想は、
現代の金融・経済が果たす役割にも重なり合う。
それは、「小さな資本が、産業を育て、社会全体へ大きな価値を生み出していく」という、
兜町が担ってきた資本主義の美しい好循環そのものなのだ。
私がキャスターとして歩んできた22年の経済の現場。
そして、音声表現者として関わらせていただいている、
日本最古の歴史書『古事記』の神話をベースにした総合芸術舞台『一粒萬倍 A SEED』。
一見、対極にあるように見える「経済」と「アート」の2つの世界は、
実は「一粒が萬倍もの豊かな実りを遂げることを願う」という共通の精神世界で、
深く強く一致し、結びついている。
私たちが生きる現代の経済システムは、その源流をたどれば、
すべては『お米』を尊び、自然の恵みに感謝してきた『五穀豊穣』の祈りに辿り着く。
兜町を単なるマネータウンとして捉えるのではなく、
「日本の豊かさの源流を受け継ぎ、新たな価値を芽吹かせる聖地」としてリスペクトを捧げること。
その架け橋となり、日本の心の温かさを言葉に変えて世界へ、そして次世代へと届けていくこと。
それこそが、私がこのパラレルワークの中心に掲げる、揺るぎない北極星なのだと改めて強く想う。
※ 総合芸術舞台『一粒萬倍 A SEED』https://ichiryumanbai.com/
綴り手:鈴木ともみ
キャスター・エッセイスト

【プロフィール】
国士舘大学政経学部兼任講師、経済学修士、
早稲田大学トランスナショナルHRM研究所招聘研究員、日本記者クラブ会員記者、
国際金融情報番組『WORLD MARKETZ』(東京MXテレビ・STOCKVOICE)キャスター。
『Tokyo Financial Street』(STOCKVOICE)キャスター。
マイナビ「鈴木ともみのわかりやすい経済ニュース解説」、日経電子版、
日経QUICK等に経済コラムを連載。
地上波初の株式市況中継TV番組でキャスターを務めるほか、TOKYO-FM、
ラジオNIKKEIなどラジオ番組にも出演。
JazzEMPアンバサダー・メインMC。
総合芸術舞台『一粒萬倍 A SEED』アンバサダー・語り役。
パーソナルカラリスト。
☆ エッセイ【吉日のおかわり(五感で潤すオフ活のススメ)】
主な著書
『株式投資・新NISA 損をしない投資に大切な基本100』(アルソス刊)
『資産寿命を延ばす逆算力』(シャスタインターナショナル刊)
『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)
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