人生100年時代のライフプラン講座 第9回
2025/06/18
人生100年時代シリーズ(ライフプラン講座)
「もしもの介護、どう備える?」~安心の老後生活
「人生100年」と言われるほど人生は長くなりましたが、最期まで健康で今と同じような生活ができるわけではありません。健康寿命は平均で男性72.57歳、女性75.45歳。このくらいの年齢を超えると、2人に1人は要介護など生活に何らかの制約がある状態になります。
介護は以前は家族の問題でしたが、高齢者の医療保険や公的介護保険のサービスが確立された今では、社会の問題として取り組んでいます。
ただし、公的制度だけで十分とはいえません。医療・介護保険の公的サービスの内容を踏まえて、自分が希望する生活を送るには何が必要かを考えておくことが、自分らしい安心の老後生活につながります。
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今こそ知っておきたい「介護保険制度」
~老後に備える安心の第一歩は介護です~
人生100年時代。年齢を重ねるにつれ、「この先、自分や家族に介護が必要になるかもしれない」と感じることもあるのではないでしょうか。
いざという時に慌てずにすむように、介護保険制度とその使い方について、今のうちから知っておくことが大切です。ここでは、公的な介護保険の仕組みから、使えるサービス、費用、相談先まで、わかりやすくご紹介します。
◆ 1.介護保険制度の概要
介護保険制度は、2000年に始まった国の制度で、40歳以上のすべての方が加入者になり、保険料を負担しています。65歳以上の方(第1号被保険者)は、原因を問わず要介護または要支援の認定を受けた時に介護サービスを受けることができます。それに対して、40歳から64歳の方(第2号被保険者)が介護サービスを受けられるのは、老化に起因する所定の疾病による場合に限られています。
2024年度の制度改正では、団塊世代がすべて後期高齢者となる「2025年問題」に対応するため、地域包括ケアシステムの充実や自立支援・重度化防止を重視しながら、制度の安定性・持続可能性の確保を目指した介護報酬の改定が実施されました。
この報酬改定の影響等も考慮したうえで、介護サービス利用時の自己負担を増やすことが検討されています。
(※)地域包括ケアシステムについて
介護に関して「何をすればいいのかわからない」と感じたとき、頼りになるのが地域包括支援センターです。
● 介護や福祉に関する総合相談窓口
● 要支援者向けサービスの調整
● 高齢者虐待の防止や権利擁護の支援
● 認知症への支援と初期対応
上記の様に、地域包括支援センターは、誰でも無料で利用できる“地域の介護の相談窓口”です。どんな些細なことでも親身に対応してくれるので、不安や疑問があれば、まずは気軽に相談できる場所です。
【参考】
さいたま市・シニアサポートセンター(地域包括支援センター)について
https://www.city.saitama.lg.jp/002/003/003/001/001/p003506.html
◆2.介護サービス利用までの流れ
介護保険を利用するためには、まず「要介護認定」の申請が必要です。
以下の流れで進んでいきます。
1.申請:市区町村の介護保険担当窓口または地域包括支援センターで申請します。本人または家族が行います。
2.認定調査:調査員が自宅などを訪問し、心身の状態を確認します。
3.主治医の意見書:かかりつけ医が意見書を作成します。
4.審査・判定:調査結果と意見書をもとに、市区町村が要支援または要介護の区分(要支援1・2から要介護1~5までの7段階および非該当)を決定します。申請から認定の通知までは原則30日以内とされていますが、状況によって申請から利用開始まで1〜2か月程度かかることも。
5.通知とケアマネジャーの選定:要介護認定を受けたら、ケアマネジャーのいる居宅介護支援事業者に依頼して「ケアプラン」を作成してもらい、サービスが利用可能になります。要支援認定を受けた場合は地域包括支援センターに相談して介護予防サービス計画書を作成します。
◆3.介護サービスの種類
介護保険で受けられるサービスは、大きく分けて次の通りです。
●訪問系サービス:ホームヘルパーによる訪問介護、訪問看護、訪問入浴など
●通所系サービス:デイサービス(食事・入浴・機能訓練など)、デイケア(通所リハビリテーション)
●短期入所(ショートステイ):一時的に施設で過ごすことで、家族の負担を軽減
●施設入所:特別養護老人ホームなど(要介護3以上が原則)
●福祉用具貸与・購入・住宅改修:手すりの設置やベッドの貸与など、自宅での生活をサポート
これらは、要介護度に応じて利用できる量が異なり、必要に応じて組み合わせて使うことができます。
◆ 4.費用負担と制度のしくみ
介護サービスの費用は、原則として利用者が1~3割を自己負担します。自己負担割合は前年の所得に応じて決まり、多くの方は1割負担です。
たとえば、要介護2で月15万円分のサービスを利用した場合、自己負担は1.5万円程度となります。また、「高額介護サービス費制度」により、月額の自己負担が一定額を超えると、超えた分は払い戻される仕組みがあります。
さらに、生活保護を受けている方や低所得世帯向けの軽減措置、自治体独自の助成制度がある地域もあります。詳細は各自治体に確認するのが確実です。
◆ 5.認知症に関する留意点
高齢化とともに増えているのが、認知症です。認知症になると、記憶や判断力が低下し、日常生活が難しくなる場合があります。
ですが、早期に気づき、支援につなげることで、自分らしい生活を続けることも可能です。最近では、認知症初期集中支援チームや認知症カフェなど、地域全体で支える体制が広がっています。
認知症が心配なときは、早めに地域包括支援センターやかかりつけ医に相談しましょう。本人の意思を尊重した支援計画を立てることで、本人も家族も安心して暮らせる環境が整います。
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【まとめ】
公的介護保険制度は、介護を必要とする高齢者やその家族を社会全体で支えるための大切な仕組みです。しかし、公的な支援だけで一人ひとりが希望する生活を実現することはできません。周りの助けが必要になったとき、自分がどんな生活を望むのかをイメージし、介護保険で賄える部分を踏まえて、自分が準備すべきことをしっかり考えておきましょう。「元気な今だからこそできる備え」があります。
◆ 制度を正しく知る
◆ 困ったときに相談先を決めておく
◆ 自分らしい暮らし方をイメージしておく
これらが揃っていれば、いざという時も慌てずに対応できます。「ひとりで抱え込まず、まず相談してみる」──それが、安心の第一歩です。
どうぞ、地域の制度と支援を上手に活用して、これからの暮らしをより豊かにしていってください。
今回は、介護保険制度を詳しく見てきました。人生後半生におけるライフプランにもFPは寄り添っていきたいと考えております。民間介護保険も公的介護保険を補完するのに有効なものが多々あるので、合わせてご検討ください。
<執筆者> 松岡佳也(まつおか・よしや)
ファイナンシャル・プランナー

約20年前、銀行で投資信託を購入して投資デビュー。
以来、資産の上下で一喜一憂も継続中。
若者の人生に寄り添いたいと日々奮闘している。
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