金利のある時代、資産と暮らしの新しい考え方(その2)
2026/10/24
金利のある時代、資産と暮らしの新しい考え方(その2)
「資産をいくら増やすか」から「資産をどう活かすか」
前回は、「金利のある世界」が戻ってきたことで、私たちの資産を取り巻く環境そのものが変わり始めている、というお話をしました。
では、その中で私たちは資産とどのように付き合っていけばよいのでしょうか。
私はこれからの資産設計では、「いくら増やすか」だけではなく、「資産をどう活かすか」という視点が一層重要になると考えています。
例えば、老後に3,000万円の金融資産を持っているとします。
その3,000万円をすべて運用して増やそうと考える必要があるでしょうか。/
・日々の生活に使うお金。
・数年以内に使う予定のお金。
・病気や介護など、いざという時に備えるお金。
・そして、10年、20年先(あるいは次世代)を考えて運用するお金。
同じ3,000万円でも、それぞれに役割を与えると、資産の見え方は大きく変わってきます。
金利がほとんどなかった時代には、「現金で持っていても増えない」ということが大きな問題でした。しかし金利のある世界では、預金や国債などの比較的安全性の高い資産にも、再び役割が生まれてきます。
また、物価が上昇する時代には、現金だけを持っていることもリスクになります。株式など成長する資産を持つ意味もなくなったわけではありません。
だからこそ重要になるのが「分散」です。
ただし、私は分散を単に「いろいろな商品を持つこと」だとは考えていません。
・生活を支える資産。
・将来の成長を期待する資産。
・いざという時にすぐ使える資産。
それぞれが違う役割を持ち、どこかに問題が起きても生活全体が大きく崩れないようにしておく。
これは資産運用というより、暮らしの「Resilience(レジリエンス)」を高めるという考え方です。
Resilienceとは、環境が変わった時にも、それに対応し、立て直していく力です。回復する力といってもいいと思います。
これからの社会では、金利だけでなく、物価、為替、社会保障制度、税制、医療・介護、そして国際情勢まで、さまざまなものが変化していくでしょう。
そのすべてを予測することはできません。
だから私は、「未来を当てること」よりも、「何が起きても次の一手を打てる状態をつくっておくこと」の方が大切だと考えています。
資産には「Diversification(分散)」、暮らしには「Resilience(回復力)」が必要です。
そして、その中心にあるのがライフプランです。
資産運用から人生を考えるのではありません。
「これからどのように暮らしたいのか」を考え、そのために資産をどう配置し、どう使い、どう残すのかを考える。
金利のある世界が戻ってきた今は、資産のあり方を見直す良い機会なのかもしれません。
「何を買えばよいか」の前に、
「私は、この資産で何をしたいのか」。
そこから、新しい資産設計・暮らしの設計(ライフプラン)が始まります。
井上昇(CFP):FPサロンさいたま新都心代表
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