2026年 医療介護保険制度の改正からライフプランを考える (2)
2026/09/10
2026年
医療介護保険制度の改正からライフプランを考える (2)
医療介護制度改正から家計を守る
1 基本的な家計の考え方
重くて高額なリスクは保険で広くカバーされやすく、軽くて日常的な支出は自助に寄りやすいです。
最近の見直しでも、この方向が強まっています。厚生労働省では、保険給付の重点化やOTC類似薬の扱い見直しが議論されており、一方で高額療養費には年間上限の新設が進んでいます。
(1) 医療の線引き
<保険で広くカバーする範囲>
公的医療保険は、入院、手術、がんや心疾患などの高額治療、長期療養で家計が急に壊れる場面を中心に守る設計です。
たとえば高額療養費制度では、医療費が高額になっても自己負担には上限があり、令和8年8月からは年単位の上限も加わります。厚生労働省の例では、70歳未満で年収約370万円から約510万円の人が医療費100万円の治療を受けた場合、自己負担は約9.3万円までに抑えられます。
<自助で備える範囲>
軽い風邪、湿布、目薬、胃腸薬のように市販品で代替しやすい支出は、自助に寄せる議論が進んでいます。
厚生労働省の医療保険部会でも、OTC類似薬は保険給付の見直し対象として扱われており、今後は「病院でもらえば安い」前提が弱くなる可能性があります。
<実例でみる>
場 面 広く保険で守る 自助で備える
がんで入院 高額療養費で上限管理 差額ベッドや交通費
骨折で手術 手術と入院費を支援 休業中の生活費
風邪で受診 診察は保険対象 軽症薬代の増加
慢性通院 診療自体は保険対象 通院交通費と雑費
(2) 介護費の線引き
<保険で広くカバーする範囲>
介護保険は、要介護認定後に必要となる訪問介護、通所介護、福祉用具、施設サービスなどを広く支えます。
さらに医療と介護の自己負担が重なった世帯には、合算して負担を軽くする仕組みもあります。
<自助で備える範囲>
ただし、制度の対象外部分、上乗せサービス、日常生活費、家族の時間コストまでは十分に埋まりません。
福祉用具でも、給付対象になる機能と、通信料や端末代のように自己負担になる部分が分かれます。厚生労働省の検討では、徘徊感知機器でGPS機能の一部を給付対象にしつつ、通信料や受信端末は自己負担の整理です。
<実例でみる>
場面 広く保険で守る 自助で備える
在宅介護開始 訪問介護や通所介護 家の見守り体制
認知症見守り 一部機器は給付対象 通信料や端末代
施設入所 介護サービス費 食費や居住費
老老介護 制度利用は可能 家族の代替手配
1 ライフプランへの影響
(1) 医療費の備え
大病資金を厚く持つより、通院と薬代の継続負担を見込むことが大切です。
高額治療は公的制度がかなり効く一方で、軽症受診や日用品的な薬代は今後じわじわ自腹が増えやすいからです。
(2)介護費の備え
介護では、月額の自己負担よりも長期化と周辺費用が家計を圧迫しやすいです。
制度内の1割から3割負担だけ見て安心せず、食費、居住費、見守り費、家族の移動負担まで見ます。これは公的保険だけでは吸収しきれません。
(3)ライフプランへの対策
<家計でやること>
医療介護専用の予備費を分けることです。
生活防衛資金とは別に、通院、薬、介護雑費用の口座や資金枠を作ると、制度変更の影響を受けにくくなります。
<制度でやること>
高額療養費と医療介護合算療養費は必ず確認しましょう。
高い治療費に備える方法としては、保険商品への加入を増やす前に、公的制度の上限を把握することが先です。
入院の一発より、通院の積み重ねと介護の長期化に家計は弱いです。大きな病気は制度で守り、細かく続く支出は自分で備える。この分け方が大切です。
ファイナンシャル・プランナー 濱口 徳広
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