不確実な未来を守るための戦略とファイナンシャル・プランニング② 第1章
2025/04/30
新たな挑戦、新たな機会「変動する時代に備える」
不確実な未来を守るための戦略とファイナンシャル・プランニング②
第1章:トランプが突きつける「西洋の終焉」 ─ 米国の内なる崩壊
ドナルド・トランプ──
2025年、彼が再びアメリカ合衆国大統領の座に就いたことは、偶然でも、単なる保守主義の回帰でもなかった。それは、米国という帝国が内側から音を立てて崩れていく“歴史的必然”の象徴である。
この現象は、マルクスの唯物史観(注1)に立てば、「グローバル資本による一極集中」と「中間層の没落」が限界に達した兆候と捉えられる。多国籍企業や金融資本は国家の枠を超えて富を吸い上げる一方で、地元の労働者や地域経済は恩恵から取り残されている。
米国の中産階級は、実質賃金の低下、雇用の不安定化、社会的流動性の低下により、“夢”を語る余裕すら失った。この不満と不安は、政治的極端化や反知性主義という形で噴き出し、トランプという“異端”を求める社会的土壌を形成している。
また、フランスの人口学者エマニュエル・トッド(注2)は、現代社会の変化を経済や政治だけでなく、文明や文化の構造変化として読み解こうとする。
彼は「識字層の劣化」、すなわち教育を受けた市民の思考力・判断力の低下を「近代民主主義の質的限界」と位置づける。さらに中高年層の死亡率上昇(絶望による死)と出生率低下は、文明そのものの老化と持続不可能性だと警告している。
唯物史観とトッドの文明論はともに、トランプという存在を「社会構造の崩壊を映す鏡」であり、言うならば、トランプはアメリカのみならず、世界が経済的分断と文化的退行の分岐点に立っているという象徴なのです。
4月に発表されたPIMCO(注3)の「最新の経済サイクルレポート(短期経済展望)」では、「アメリカは成長鈍化とインフレの二重苦に直面している」と指摘している。FTやブルームバーグも、ドルの信認が揺らぎつつあることを繰り返し報じ、かつての“安全資産”神話は確実に崩れています。
中国、ロシア、グローバルサウスといった非西洋圏諸国はこの空白を埋めるように台頭してきた。この中にはアフリカ諸国やインドなど発展途上の国もあり、経済成長が注目されている
中国は「一帯一路」を通じて経済圏を拡大し、ロシアは欧米弱体化を国家戦略に据える。アフリカ諸国も脱ドル依存と資源主権の主張を強めている。
IMFの世界経済見通しによれば、アメリカの実質GDP成長率は、2025年1月の2.7%から、4月発表時点で1.6%へと下方修正された。一方でアジアの新興国と発展途上国は引き続き4~5%の成長を維持しており、「21世紀はアジアの世紀」という潮流は、依然として緩やかに、しかし確実に進んでいる。
(注1)マルクスが提唱した歴史観。経済的生産手段と所有形態が社会の在り方を決定するとし、歴史を階級闘争の連続とみなす。
(注2)教育水準や家族構造、人口動態の変化を中心に文明の盛衰を分析するフランスの人口・社会学者
(注3)米国カリフォルニア州に本拠を置く世界最大級の債券運用会社。債券市場分析に強みを持ち、グローバルなマクロ経済見通しにおいても高い評価を受けている。
執筆者:井上 昇(ファイナンシャル・プランナー)
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