親が元気なうちに話し合っておきたい、介護のこと、資産のこと
2025/12/14
親が元気なうちに話し合っておきたい、
介護のこと、資産のこと
前回、まさかの時の医療について父と真剣に話した経験をご紹介しました。
その流れで、実家の相続や資産についても、実際に父と話し合いました。
最初、父は「うちは資産家じゃないから揉めないよ」と言って、受け流そうとしましたが、
息子としての私は、そんなことを心配しているのではありません。
父に介護が必要になったとき、
父がどのような生活を望み、それを支える資金力がどの程度あるのか確認しておきたかったのです。
介護保険があるとはいえ、介護は、長期にわたることが多く、自己負担は小さくはありません。
そして、父と話をしたことで、思いがけず喫緊の課題を発見することができました。
今回は、父の資産状況を確認したことで見えてきた、
「不動産(実家)の課題」についてお話しします。
■ 資産は「シンプル」で一安心、と思いきや…
勇気を出して父に資産状況を聞いてみたところ、その内容は思った以上にシンプルでした。
生活費:年金の範囲内で賄いたいと考えている。
資産:わずかな貯金と実家、自家用車のみ。保険はすべて解約済み。
借金もなく、複雑な金融商品もないことには安心しました。
しかし、資産が少ないということは、父の老後の「選択肢が限られる」ということです。
施設に入居するほどの潤沢な資金はないため、
介護生活はできるだけ「在宅医療」で進めるしかないとわかりました。
父自身も実家に愛着があり、「できるだけここに住みたい」と願っています。
一見、父の希望と懐事情が合っているように見えますが、
ここに不動産特有の落とし穴がありました。
■ 「在宅介護」を阻む実家の現実
父は「介護が必要になったら、介護保険でリフォームや
ベッドのレンタルをすればいい」と考えています。
しかし、肝心の実家(建物)の状態が問題です。
建物の劣化
築20年以上たっているのに点検をほとんど受けていないとのこと。
二階の子供部屋は使っていないため物置状態。
立地の制約
実家は「市街化調整区域」にありました。
もし建物の老朽化が進んで雨漏りや断熱性の欠如が深刻になっていたら、
いくら訪問看護などのサービスを入れても、「在宅での生活そのもの」が
物理的に不可能になる恐れがあります。
「住み続けたい」という父の願いを叶えるには、
そもそも建物の状況の確認から始めなければならないでしょう。
そこで、私は父に実家の点検を強く勧めました。
父は、「お金がかかるなぁ」とこぼしながらも、しぶしぶ承知しました。
必要な点検を怠ったために、実家が使えなくなっては大幅な計画変更を余儀なくされてしまいます。
現在、建築会社に点検を依頼し、費用の見積もりを出してもらうことになっていますが、
日程がいつになるか決まっていないのが心配です。せめて定期的に点検し、
その都度必要な修繕をやっていてくれたらと残念でなりません。
■ 「二束三文」の実家をどうする? 兄弟会議の憂鬱
そして最大の懸念は、相続発生後に私たち兄弟3人で実家をどうするかです。
以前、母の相続の際、この実家にはほとんど資産価値が認められませんでした。
売れない
市街化調整区域のため、高額売却は期待薄。
分けられない
現金なら分けられますが、不動産は分割が困難です。
「兄弟の誰かが引き取ってくれるといいが…」というのが本音ですが、誰も欲しがらない場合、
最終的に長男であり、最も実家の近くに住んでいる私が管理する立場になるでしょう。
役場の担当者に確認したところ、建て替えなどはできるとのことで一安心しました。
売れないときは私自身が住むという最終手段があることだけは一応確認できましたが、
解体にせよ、リフォームにせよ、そのための資金も確保しなくてはなりません。
「今度の年始に兄弟が集まるから、その時に状況の説明だけでもしたいもの」
毎年そう思うのですが、楽しいお正月の空気を壊すのが怖くて、
結局切り出せずに今に至っています。ある程度、父の状況が把握できたので、
今度こそ話し合いたいものです。父自らが、この話を兄弟へ切り出してくれると助かりますが。
■ 今、息子としてできること
父の資産を聞くことは、単なるお金の計算ではありません。
それは、父の「これまでの人生」を知り、「今の気持ち」に寄り添い、
「今後の希望」を共有する作業です。
父が元気なうちにやっておきたいことは何か。
葬儀で誰を呼びたいか、連絡先のリストはあるか。
できるだけ父と時間を共有し、旅行や趣味を楽しむことも考えたいです。
それと同時に、実家という「不動産」が将来、家族の重荷にならないよう、
今のうちに建物の状況把握から始めなければなりません。
また、父の介護について、
兄弟間での意識のすり合わせを少しずつ進めていく必要があると感じています。
<執筆者> 松岡佳也(まつおか・よしや)
ファイナンシャル・プランナー

約20年前、銀行で投資信託を購入して投資デビュー。
以来、資産の上下で一喜一憂も継続中。
若者の人生に寄り添いたいと日々奮闘している。
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