一般社団法人埼玉生活支援協会

人生100年時代のライフプラン講座・第5回

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人生100年時代のライフプラン講座・第5回

人生100年時代のライフプラン講座・第5回

2025/02/26

人生100年時代シリーズ(ライフプラン講座)

 

人生100年時代のライフプランと財政について
 

日本における「人生100年時代」は、少子高齢化が進む社会です。

公的年金や医療保険制度は、主に国の財政負担と現役世代の社会保険料負担によって賄われてきました。しかし、今後は年金水準の低下や高齢者の負担増が避けられない状況です。一方で、生産年齢人口の減少により、高齢者にも活躍の機会が広がりつつあります。

人生100年時代を豊かに生き抜くためには、長期的な視点で生涯設計を行い、公的制度に頼るだけでなく、自立した生活を支える資産形成と、年齢を問わず社会に参加できるキャリア形成を目指すことが重要です。

私たちファイナンシャルプランナー(FP)は、一人ひとりの希望や状況に応じたライフプランの作成をサポートします。

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 前回は、日本の人口動態について考えました。

今回は、財務省の資料「これからの日本のために財政を考える」を参考に、私たちの生活に深く関わる社会保障政策、プライマリーバランスの黒字化、少子化対策をテーマに考えてみたいと思います。日本の財政と社会の構造変化を理解し、適切なライフプランを立てることが、長寿社会を生き抜くための鍵となります。

 日本には世界に誇る「国民皆年金・国民皆保険」の制度がありますが、社会全体の財政負担増大し、公的制度の維持も難しい時代となりました。「定年退職後は年金で生活する」というモデルはもはや当たり前ではありません。長寿を前提とした資産管理や働き方を考える必要もあります。人生100年時代を豊かに生き抜くためには、長期的な視点で生涯設計を行い、公的制度と私的資産のバランスを考慮した計画が必要です。

(参考資料)「これからの日本のために財政を考える」(財務省)

https://www.mof.go.jp/policy/budget/fiscal_condition/related_data/202110_kanryaku.pdf

 

※社会保障の給付と負担については、厚生労働省のHPもご参照ください。

 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21509.html

 

1. 社会保障政策の現状と課題

 

 日本の社会保障制度は、年金、医療、介護、子育て支援といった分野をカバーしています。しかし、人口の高齢化が進む中、制度の持続可能性が大きな課題となっています。

 

〇年金制度の見直し

 現在の年金制度は賦課方式(現役世代が高齢者を支える仕組み)ですが、少子高齢化により財源確保が厳しくなっています。今後も受給開始年齢の引き上げや給付額の抑制が議論されるでしょう。

 年金を補完するために、老後に向けた計画的な資産形成が求められています。

 

〇医療・介護費の増加

 高齢者の医療費は増加傾向にあり、自己負担割合の引き上げが進んでいます。早いうちから健康維持に努めることが重要です。

 

〇社会保障制度の再構築

 「現役世代の負担増」と「高齢者の受益減」のバランスをどう取るかが、今後の政策の大きなポイントです。個人としては、公的制度だけに依存ず、自助努力で高齢期に備えること(資産形成)が重要になります。

 

 

2. プライマリーバランスの黒字化と個人の対応策

 

 プライマリーバランス(PB)とは、「国の歳入(税収など)」と「国の歳出(社会保障費など)」の差を指し、黒字化を目指すために、先ずは借金に頼らず収支を均衡させることが目標です。

 

〇なぜPB黒字化が重要なのか?

 日本は長年にわたり財政赤字を抱え、財源を国債発行に依存しています。これを是正しなければ、将来的に大幅な増税や社会保障の削減が避けられません。

 

PB黒字化のために国が行う可能性のある施策

消費税率の引き上げ(10%→15%など)

高齢者向け給付の見直し(年金支給額の抑制、医療費自己負担の引き上げ)

公務員給与や公共事業費の削減

 

〇私たちが取るべき対応

 国の財政健全化を進めようとすると、個人の負担が増える可能性があります。増税や給付削減に備えて、家計の見直しと資産形成を強化しましょう。

 対策のポイントを挙げておきます。

・税制改正に敏感になる(優遇措置の活用)

・長期的な資産運用の強化(インフレ対策として投資の活用)

・社会保障だけに頼らない老後資金の確保

 

 

3. 少子化対策とその影響

 少子化が進行すると、将来の労働力人口が減少し、社会保障制度の維持が難しくなります。日本政府はさまざまな対策を打ち出していますが、効果は限定的です。

 

〇少子化の原因

経済的な不安(教育費の高騰、核家族化による共働きの負担、不妊治療の負

担、世帯手取り収入の変化)

働き方の問題(長時間労働、ワークライフバランスの不備、出産年齢の高齢

化)

結婚・出産や家族に対する価値観の多様化

 

〇政府の主な少子化対策

・児童手当の拡充(第3子以降の手当増額など)

・保育環境の整備(待機児童解消、育児休業制度の拡充)

・教育費の負担軽減(高等教育の無償化、奨学金制度の拡充)

 

〇私たち個人が考えるべきこと
教育費負担等々に対応できるよう、早めに目的別の資金確保や家計全体での資

産形成に取り組む。

・柔軟な働き方を選択し、家族の時間を確保する。

・支援制度を活用し、子育ての経済的負担を軽減する。

 

 

4.FPからの提案

 人生100年時代において、安心して暮らすためには、「社会の動向を理解し、自ら備える姿勢」が不可欠です。

 

・社会保障制度の変化を前提にライフプランを見直す

・プライマリーバランス黒字化に向けた増税などの負担増リスクに備える

・少子化が進む中で、未来を担う子どもたちに必要な教育資金を確保する

・少子高齢社会に対応した労働環境の変化に適応できるよう自己研鑽に努める

 

 社会の変化を「他人事」として捉えるのではなく、自分の人生にどう影響するのかを深く考え、戦略的に行動することが重要です。私たちFPは、皆さんがその第一歩を踏み出せるよう、これからも実践的なアドバイスを提供していきます。

 

ファイナンシャル・プランナー 松岡佳也

 

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FP Matsuoka’sコラム】

少子化対策

 

 2024年度予算では、社会保障費137.8兆円のうち、こども・子育ては10.8兆円でした。こどもや子育てへの給付をもっと大胆に増額してほしいと思うのは、私だけでしょうか?

 私の子供の一人は、不妊治療で授かりました。通っていた不妊治療のクリニックは大盛況でした。子供が少ないと叫ばれている一方、子供を望みながら子供に恵まれず苦しんでいる大勢の夫婦がいるのです。経験者の一人として、私たちの苦しみに寄り添ってくれる政策を望みます。

私たち夫婦が不妊治療を行っていた時、費用は全額自己負担でした。不妊治療のために妻に付き添ってクリニックへ通うようになり、まず驚いたのは、通院回数の多さとその受診日が不定期で間隔が短いことでした。これでは正社員であっても、不妊治療のために仕事を休まなければならない女性の心労は並大抵ではないと感じました。

不妊治療が失敗する度、夫婦ともに傷つき、貯金はどんどん減ってゆきました。実際、私たちは不妊治療に2百万円ほどを費やしました。

そろそろ限界ではないかと感じていた私は、不妊治療に失敗を続けて傷ついている妻に言いました。

「お金のこともあるし、次で最後にしようね…」

妻はどう思ったのでしょうか。その最後で、待望の子供が我が家に来てくれました。

 私たちのケースは幸運でした。現実は厳しいと言わざるを得ません。不妊治療は、いつまでも続けられますが、40歳を超えると成功率は非常に小さくなります。でもやめない限りは、「可能性」は残されています。不妊治療をやめることは、その可能性を自ら捨てることになるのです……

 

 

<執筆者> 松岡佳也(まつおか・よしや)

ファイナンシャル・プランナー

約20年前、銀行で投資信託を購入して投資デビュー。

以来、資産の上下で一喜一憂も継続中。

若者の人生に寄り添いたいと日々奮闘している。

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