日本の財政制度(前編)
2024/08/14
日本人の、ファイナンシャルリテラシーが、
日々上がってきていると感じています。
今回と次回、日本の財政制度について書きます。
まず今回は、財政や税の歴史についてです。
財政や税の歴史
財政制度の始まりは飛鳥時代に遡ります。
645年の大化の改新で、公地公民などの新しい
政治の方針が示され、律令制が始まりました。
班田収授法が施行され、国家が保有する耕作権を
人民へ貸与する制度が確立されました。
701年に完成した大宝律令では、税や労役の
制度(租・庸・調)が施行されました。
租は男女の農民に課税され、税率は収穫の約3%でした。
庸は都での労働(年間10日間)又は布を納める税、
調は布や絹などの諸国の特産物を納める税
だったようです。これが税の始まりであるといえます。
奈良時代になると墾田永年私財法(743年)が
制定され、土地の私有化が進みました。
平安~鎌倉時代には大きな寺社や貴族の荘園が
各地に出来、農民は荘園領主に年貢や
公事(手工業製品や農作物など)、夫役(労働で納める税)
などを納めました。室町時代では税の中心は
年貢でしたが、商工業の発達により商工業者にも
税が課せられ、街頭に設けられた関所では
関銭(通行税)などが税として課せられました。
安土桃山時代には豊臣秀吉が土地を調査して
太閤検地を行い、農地の面積だけでなく、
農地の収穫高などを調べて年貢を納めさせる
ようにしました。当時の年貢は
二公一民(収穫の三分の二を年貢として納める)
といい、厳しい税率だったそうです。
江戸時代においても年貢の中心は米であり、
商工業者に対する税も運上金・冥加金
(株仲間と呼ばれる同業者に商売の特権を
認める代わりに納める税)といった形で
納められました。
明治時代になると、明治政府は歳入の安定を
図るため地租改正を実施し、貨幣で納める
ようになりました。地租改正では土地の
地価の3%を地租として貨幣で納めさせた
そうです。また、この頃に所得税や法人税が
導入されました。当時の所得税は
所得金額300円(現在の価値にして約600万円)
以上の所得者に課税されたそうです。
大正~昭和時代にかけて、現在の税の仕組みが
出来始めました。戦後、混乱した日本の
経済事情の下でどのような政策を立てるべきか、
アメリカの使節団が調査を行い勧告(シャウプ勧告)
を行いました。このシャウプ勧告が現在の税制度に
基盤になっているといわれます。そして、
平成元年には消費税が導入され、現在に至ります。
こうしてみると、昔の米や労働の時代から始まり、
現在では電子申告が主流となりつつあり、
大きな変遷を経てきていますね。
次回は現在の財政について書いてみようと思います。
FP Avenue所属
ファイナンシャル・プランナー
木元広之
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